ジャニオタの感想文「HiHi Jetsが魅せた、ニューノーマルエンタメ」

3月21日に結果発表された「ジャニーズ楽曲大賞 無観客現場部門」の8位に輝いたのが、HiHi Jetsのサマパラ*1でした。確かに、HiHiのサマパラは最高のライブでしたが、上位10位以内に食い込んだのには驚きました。複数グループでの公演を抜きにしたら、嵐、Sexy Zone、V6、Travis Japanに次ぐ順位でした。

これは一部のジャニオタによる非公式のイベントの結果なので、ジャニオタの総意ではありませんが、HiHi Jetsのファンからの支持に加えて、他グループのファンからの評判もあったからこそ、ここまで上位にあがってきたのだと考えています。*2

 

HiHiのサマパラに寄せられたコメントを読んでいたら、そうそう!それそれ!と深く共感できるものばかりで、去年の夏に感じたアツさを思い出しました。私自身も投票時にコメントを書きましたが、いいところがありすぎて書きたいことの1割も書けなかったように思います。天才パフォーマー集団であるHiHi Jetsのライブを一言二言でまとめるなんて無理でした。*3

 

だから書きます。ライブが開催されてから8ヶ月も経っているタイミングですが、HiHi Jetsのライブについてまだまだ語りたい自分の欲を満たすために。あわよくば、100年後に「HiHi Jetsはいかにして伝説のアイドルグループとなったのか」という彼らの伝記を書こうと思い立った方の手助けになれば、なんてことも企みつつ。

 

悲しいことにライブの映像が円盤化されておらず公演を見直すことができないため、主に雑誌のライブレポートと自分の記憶をもとに書くので、所々記憶違いがあったら申し訳ありません。HiHi Jetsのライブが大好きなので、美化しまくっているかもしれない。

あの最高だったライブを伝承しなければと謎の使命感に駆られた、とあるオタクの感想文です。

 


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HiHi Jetsのふたつの配信ライブを見て、私は今までに見たことのない新たなエンターテイメントを知ることができました。

そしてやっぱりHiHi Jetsのライブは最高だった。

 

 

 

 

 

“配信ならでは“のSummerParadise

2020年8月18日~20日に無観客、配信形式で開催されたHiHi Jetsの「SummerParadise2020」は、優斗くん曰く「2020年の春に開催するはずだったライブ*4のセトリをもとにしつつ、各曲に普通のライブじゃできないことを組み込んだ」*5ライブでした。ジャニーズ楽曲大賞のサイトに寄せられたHiHiのサマパラに対する感想*6でも、”配信ならでは”というフレーズが目立つように思います。

HiHiのライブを見ていない方は一体どんな最新技術を使ったのだろうと思うかもしれませんが、最新テクノロジーは一切使っていません。*7

 

じゃあ何が“配信ならでは”だったのか。

 

個人的に感じた“配信ならでは”な点は、

毎公演変わるセトリ、画面上に映像を被せる演出、視覚的なイリュージョン、メンバーカメラ、曲の繋ぎ方の5つです。

 

 

 

【毎公演変わるセトリ】

3日間で8公演行われましたが、8公演全てセトリが違いました。日替りで曲が変わる部分が2ヶ所、回替りで変更が起きる部分が2ヶ所あり、1公演22曲の枠に対して5曲余分に準備していました。*8加えて、瑞稀くんのソロ曲はファン投票企画によって決まるため、合計で5ヶ所も日替り・回替りの演出がありました。*9

今までもHiHi Jetsのライブには回替り要素がありましたが、今回特に日替り・回替り部分が多かったのは、配信ライブだと何回も見てくれる人が多いだろうから、そんな方を少しでも飽きさせないように*10という彼らの心意気によるものでした。(そもそも1時間半の公演が1,500円で見られて、たとえ全ステしても12,000円という破格に安さなのに….サービス精神が旺盛すぎる…)

また、自分たちのモチベーションや緊張感を保つためにも変則的な演出を多めにしたのではないかと私は予想しています。彼らはどんなライブも妥協しない、HiHi ストイック Jetsなので。

 

事前にISLAND TVで日替り・回替り演出があるよと予告されていたので、1公演目を見終わって流れが把握できた後でも次に何が起こるかわからないドキドキ感が2公演目以降もあって、全8公演とも新鮮な気持ちで楽しむことができました。

 

セトリが変わるということは必然的にカメラワークや照明の演出も変わるわけで。彼らには一緒に仕事をする大人を説得して巻き込む力があるとも言えますが、HiHiのやりたいことを実現してくれるスタッフさんたちにとにかく感謝です。いつもありがとうございます。

 

 

 

【画面上に映像を被せる演出】

猪狩くん作詞作曲のソロ曲「Klaxon」、メンバー紹介ラップ「だぁ~くねすどらごん」、瑞稀くん猪狩くんのユニット曲「ENTERTAINER」(作詞作曲はTHE GARRY)で、映像や歌詞を画面上に被せる演出がありました。映像を被せることでより曲の世界観が濃いものになっていたし、(字幕ではなくあくまでポップな映像効果的に)歌詞が表示されていることでラップ詞も聞き取りやすかったです。

 

そして、「ENTERTAINER」を見ているときに超個人的に面白いことが起きました。

Aメロで瑞稀くんが銃を模した手を左上に向かって振り上げるシーンがあり、その手銃に合わせて画面の左上にヒビが入る映像が被せてありました。

 

私のスマホ、横置きにするとちょうど左上の位置の液晶が割れちゃってるんです...

 

瑞稀くんの手銃と被せてある映像と実際の液晶のヒビが見事に重なり、一瞬ですが立体的な演出が起こって、まるで瑞稀くんの銃で私のスマホに本当にヒビが入ったような瞬間がうまれました。

 

ふたりのエンターテイナーが放った銃弾によってできた傷だと思うと、このヒビが入ったスマホに愛着が沸きはじめて未だに機種変更できていません。

 

スマホでライブを見ていたらこんなことも起きるんだなと、配信ならではの体験でした。

 

 

 

【視覚的なイリュージョン】

 誰が見てもわかりやすく“配信ならでは”を感じられる、映像マジックが起きたのが「Roller RAP BGM」です。

ここは優斗くん・涼くん・作間くんのユニット曲と日替りコーナーを繋ぐ、ローラーパフォーマンス(+猪狩くんのラップ)の部分です。画面上にふたつの場所で踊っている映像を並べて映し出すことで、ふたつの映像の繋ぎ目である真ん中の境界線部分から急に人が出てくるというイリュージョン的な演出をしていました。

ライブ前半の「PeakKAT-TUN」「BUTTERFLYKAT-TUN」でも使っていた円形の電飾バー*11を使ったパフォーマンスだったのですが、初めて見たときは何が起きているのか全くわからず、理解できたときはアハ体験並みのすっきり感がありました。というかHiHiのライブ自体がアハ体験の連続。だから面白いんだろうな~。

ふたつの映像の境界線がぴったり繋がっているので、仕組みがわかった後に見ても純粋に楽しめました。ローラーを履いているからこその、境界線から滑り出てくる動きがよりイリュージョンぽさを高めていたように思います。

 

そして、このイリュージョンは人間の思い込みも利用したからこそよりインパクトがあったのではと考えました。

 

半円形のものをふたつくっつけることで、ひとつの大きな円形の電飾バーがつくられているのですが、「Peak~BUTTERFLY」のときには円形の状態でしか登場しません。つまり初見の段階では、半円形ふたつでひとつの円形になるという情報は得られないため、ステージ上にあるのは円形の電飾バーがひとつという認識になります。

 

ところがライブ終盤の「Roller RAP BGM」ではつなぎ目がないはずの円形電飾バーの中心からいきなり人が出てくるため、大がかりなイリュージョンが起きているように感じたのではないかと考えました。

 

トリックは単純なものですが、電飾バーを見せる順序や使い方を工夫して、生の現場では実現不可能な演出がされていました。

 

 

 

【メンバーカメラ】

ライブ終盤の「Oh Yeah!(嵐)」では、メンバーが持つハンディカメラの映像を写す演出がありました。メンバーが撮影しているので自然と至近距離の映像になり、わちゃわちゃ感も増し、より5人の雰囲気を感じられました。また、カメラマンという存在を通していないことから、5人の姿を直接見ている感覚に近くなりました。

そしてこの演出は後述するJohnny’s Jr. Island FESにて更にグレードアップします。

 

 

【曲の繋ぎ方】

配信ライブだから、場面転換や曲の繋ぎに映像を挟むことが自然に出来そうですが、映像で繋ぐことが1度もなかったことが逆に良かったなと感じました。*12誰かのソロに入る前は前の曲のアウトロを伸ばして他の4人がフリーダンスで繋いだり、順番にソロでのローラーパフォーマンスをしている間にそれぞれが衣装チェンジして次の曲に繋いだり、小MCやコントで繋いだりと、画面上に誰かしらの姿が映っていたことで、集中力を切らすことなくHiHiのライブに没頭し続けられたように思います。

 

生の現場だと目の前のパフォーマンスに2時間でも3時間でも集中し続けられますが、自宅で画面を見続けるだけだと集中力が途切れがちになってしまうと思います。途切れることなく誰かしらが常にパフォーマンスを続けていたことで、自然と目が離せなくなる構成になっていたように思います。

 

それから、配信終了の仕方もとても工夫されていたなと思いました。

アンコール曲の「Eyes of the future」を歌い終わって配信終了かと思いきや、5人が「お疲れさまでした~」「今日も楽しかったね~」と会話し始め、終演後の姿が配信され続けてしまっていたという設定のプチ茶番が始まります。その後改めて一言挨拶をして、作間くんがカメラの電源を「ポチっ」と押す仕草をしたのと同時に配信が終了します。

配信終了の瞬間まで配信だから成立する演出にしており、且つ急に画面が消えて一気に現実に戻ってなんだか寂しい…みたいな気持ちにならないようになっていました。

 

 

 

 

 

ライブ終盤の挨拶で猪狩くんは「この配信ライブは現場の妥協でつくっていない。」と言っていました。

1曲たりとも妥協策だと感じるものはなかったし、有観客でライブができなくなって半年のタイミングで行ったライブとして最適解だったと思います。

 

いつもの現場だとひたすら自担をおいかけるような視点でライブを見ているので、もっと自担にフォーカスして見たくなるかなと思いきや、そんな思いが湧き上がることもありませんでした。ソロ曲に加えてユニット曲もあり、要所要所でそれぞれのメンバーのパフォーマンスを堪能できる時間がしっかりある構成だったのも大きい気はしますが、ひとつひとつのカメラワークまで含めて彼らのエンターテイメントだと思い知らされたからだと思います。

 

瑞稀くんのソロ曲投票企画があったことで、「お客さんと一緒につくる」HiHiのライブらしさはそのままに。

何度も見てくれる人を飽きさせない構成にするというHiHiのライブの軸もそのままに。

特別なテクノロジーも、最新のライブ配信プラットフォームも使わずに、配信形式でしか堪能できないパフォーマンスの連続で。

配信形式だけど、現場とこちら側の距離感をなるべく感じさせない工夫に溢れていて。

 

そんなHiHi Jets初の“配信ならでは”なライブでした。

 

 

 

 

 

テクノロジーとエモのバランスが絶妙だったJohnnys‘Jr. Island FES

 

そろそろHiHi Jetsのライブが見たいなと思っていた秋頃、2020年11月28日~29日に「Johnnys‘ Jr. Island FES」が配信形式で開催されました。HiHi Jetsは7 men 侍とJr.SPと一緒に28日の公演に出演しました。複数のグループが一緒になってパフォーマンスする曲は少なかったですが、対バン形式っぽいのがまたこの3グループっぽいなとも思いました。まあ感染対策上そうするしかないのかもですが。

夏のとんでもない傑作ライブを見て、HiHi Jetsへの期待値がかなり上がっていたのですが、やっぱり彼らは余裕で超えてきた。秋のライブも配信の面白さに溢れていました。

7 men 侍とJr.SPのパフォーマンスも好きでしたが、私はHiHi担なのでHiHi Jetsのパートについてのみ言及します。

 

 

【ピックアップメドレー】

5人のうちの誰かひとりがピックアップされる実質ソロ曲だけど、HiHiの他のメンバーがバックダンサーで出るメドレー*13です。

曲目と演出内容を簡単にまとめます。

 

「Fence」

猪狩くんソロで他の4人が総出でバックについていました。全員スリーピースをかっちり着こなし、瑞稀くんはハットをかぶり涼くんは足下で扇子をひらひら舞わせ、映像がモノクロになり、黄金の拡声器をもった猪狩くんがラップをぶちかます、最上級に治安の悪いパフォーマンスでした。画面越しでも失神しそうなくらい最高でした。

 

明日の記憶(嵐)

白いグランドピアノを弾き語りする作間くんのソロ。「fence」で着ていた黒いジャケットを脱ぎ、爽やかな白シャツ姿の他の4人が作間くんの伴奏に合わせて情緒的に歌います。世界観の変わりようがエンジェルフォール*14の落差並。Fenceとは真逆の世界観になり、作間くんの爽やかさがより際だっていました。

 

「生活(仮)(King&Prince)

ピアノを弾き終わった作間くんがカメラの前に手を出すと、 “手乗り瑞稀くん”が登場して始まったのが瑞稀くんソロです。メンステにいる作間くんとセンステに移動した瑞稀くんの遠近法を利用した演出でした。白いコートを着てステージを歩き回りながら他のメンバーから1本ずつお花を手渡されていく瑞稀くん。花束を持ってニコニコで美声を披露する天使でした。

 

「Love meee藤ヶ谷太輔

椅子を使ってかかえきれないほどの色気を纏いながらのパフォーマンスだった涼くんのソロです。メガネまでかけちゃって色気の大洪水だし、こういう曲を歌う涼くんは天下一品。バックダンサーは猪狩くんと作間くん。ベスト姿で踊る末っ子シンメも最高すぎて沼底で溺れていたので記憶がほとんどありません。

 

「シャレオツSMAP

スタンドマイクに貼り付けたレトロポップな「シャレオツ」のロゴを指さして、爽やかアイドルスマイルで始まった優斗くんソロ。こだわった小物をしっかり見せられるのも配信の利点ですね。ここまでの怒濤のパフォーマンスで受けた衝撃で脳が立ち直っていないので記憶が曖昧ですが、「全然問題ない~♪」と歌う優斗くんを見ながら、最高すぎて問題だらけなんですが…とうなだれていたことは覚えています。優斗くんの雰囲気と楽曲の相性がとても良かったです。

 

という感じで、確か1曲2分前後くらいの尺でソロ曲がメドレーされていくのですが、曲が変わるとちゃんと曲の世界観に合わせて衣装まで変更していて、配信だからできたノンストップ感だったなと思います。

 

要は、画面に映っている部分以外はバックステージになるため、外周を全力ダッシュで移動すれば瞬間移動したようにも見せられるし、ステージ上で着替えることもできます。センターステージとメインステージと外周をぐるぐる移動しながらパフォーマンスしていたので、きっと映っていないところで移動しながら着替えてパフォーマンスしてまた着替えて…とめまぐるしく動いていたんじゃないかと予想しています。

 

 

 

【360°カメラ】

優斗くんのソロが終わり、SMAPの楽曲「living large」が続きます。サマパラではハンディカメラを使ってメンバーならではの距離感が感じられる演出がありましたが、その進化版が360°カメラを使ったこの演出だったと思います。

ローラースケートでステージ上を駆け回る様子を、パフォーマンスする本人が自撮りカメラで撮影しているようなアングルの映像でしたが、自撮り棒が存在していないのでVR映像のようでした。おそらくこのシリーズのカメラを使用して、事前収録したものだったのかなと予想しています。

 

www.insta360.com

 

ローラーで滑るスピード感は今までの現場では体感することができなかったし、足元の細かいステップも前方の席じゃないと見えない場合がありましたが、自撮り形式にすることで生の現場よりもっともっと近い距離感で彼らのパフォーマンスを見ることができた演出でした。ソーシャルディスタンスをとるための配信形式なのに、結果的にクリエの最前よりも近い距離で彼らのパフォーマンスが見れてしまったのです。

 

 

サマパラとFESの二つの配信ライブ内で使われたテクノロジーは360°カメラだけだと記憶しています。

いろんなアーティストが配信ライブをしていて、使用するテクノロジーも様々ですが、でもだからといってライブを見るファンは最新テクノロジーを体感したいわけではないと思います。配信でしかできない演出を求めすぎてテクノロジー演出を見せることが目的になってしまうのは違うと考えています。あくまで、テクノロジーは見せたいものを表現するための手段です。

雑誌で「ローラーで走り回るのはステージ映えするけど、ひとりひとりの顔が見えない」*15と涼くんが話していました。360°カメラは、ローラーのスピード感とひとりひとりの表情どちらもしっかり伝えることができるHiHiにぴったりのテクノロジーだったし、ローラーを履くHiHi Jetsだからこそ使えた技だったように思います。見せたいものを伝えるひとつの手段として最新技術を使いこなしていたパフォーマンスでした。

 

 

 

【ハイテク風ゴーグル】

360°カメラを使った「living large」に続く「Go Higher赤西仁」では、ウィンタースポーツで使うようなごつめの黒いゴーグルをつけた状態で5人がメインステージに立っていました。もちろんローラースケートも履いています。

いつものライブと違ったのは、彼らが客席のほうを向いて立っていたのでなく、客席に背を向けメインモニターに向かい合う形でパフォーマンスし続けたことです。そうすることで、メインモニターに出てくるリリック映像をゴーグルに反射させて、まるで映像が流れてくるハイテクゴーグルを付けているかのような見せ方になっていました。(電光掲示板ヘルメットをつけたHey!Say!BESTと共演してほしいけど、HiHiのほうがスタイリッシュでおしゃれだな…)

 

いつもの現場では、客席に背を向けてパフォーマンスするなんて考えられませんが、無観客で、視聴者の視点を自在にコントロールできる状況下だからこそできた演出でした。

 

ゴーグルをつけることで視界が悪い中、ローラー履いて英語詞を歌って、ハイレベルなことをしているのに、(ゴーグルつけているから表情はわからないんですが)涼しい顔で パフォーマンスしている姿がとてもかっこ良かったです。

 

演出が凝っていたのはもちろんですが、「living large」のあとに「Go Higher」を持ってきたのがめちゃくちゃ尖っていて最高だなと思いました。「Go Higher」は英語詞だったので、公演を見ている最中は歌詞の内容が理解できなかったのですが、というかパフォーマンス見るのに精一杯で歌詞の内容までは把握できないのが常ですが、公演後に本家の「Go Higher」を聞いて歌詞の内容を理解した時に、この曲順にしたHiHi Jets末恐ろしいと思いました。

 

「living large」は、トップに立ったものにしかわからない苦難を歌った曲だと私は捉えたのですが、それでも、

カベだらけの日々だけど

月並みな人生送るより

光めがけ to be a child again

(「living large」の歌詞より抜粋)

と歌った後に、

俺たちは止められない

俺たちには天から与えられた使命があるんだ

 (略)

より高いところへと導くんだ

(「Go Higher」/「#JUSTJIN」の歌詞(和訳)カードより抜粋)

という曲を歌うのが、HiHi Jetsです。トップに立っても驕らず腐らず、より高みを目指すって意思だと解釈しました。

 

 

 

【万華鏡】

確か「Go Higher」の終盤あたりからこの演出が起きたように記憶しています。

メインステージに大きな鏡がいくつか出てきて、HiHi5人を囲うように配置されていきます。そして鏡の檻に閉じ込められた5人を上から覗き込むようなアングルの映像になり、HiHi5人がオブジェクトになった巨大な万華鏡が出現します。

彼らが履いているローラーには鏡の破片のような飾りがたくさんついており、キラキラな世界が画面いっぱいに広がっていたように記憶しています。大きな鏡で囲う、光の反射を多く複雑にするためにローラーにも鏡をつけるという単純な仕組みだけど、やってることはチームラボでした。

鏡で囲っているため上から覗き込まないと堪能できない演出で、これもまた通常のライブではできない演出でした。

 

曲が終わり、HiHiを囲っていた鏡が開いて炎の特攻があがって次の「FIRE!!Kis-My-Ft2/北山くん・藤ヶ谷くん)」に繋がっていたはずですが、曲名のFIREに合わせてめちゃめちゃ特効出してもらえていて、できる演出の幅が着実に広がっていることが実感できて嬉しかったです。

 

 

 

ピックアップメドレーから「FIRE!!」まで怒濤のスピードで上記の演出が繰り出されていくので、ただ画面を見つめていただけなのに頭がくらくらしました。一応ペンライトも用意して見ていたのですが、圧倒されすぎてペンライトを振る余裕がなかった。ジャニーズ楽曲大賞に寄せられたコメントを読んでいたら*16、「fence」が衝撃的でその後の記憶が曖昧ってコメントがあって激しく同意しました。ライブを見て目が足りないと思うことは常だけど、HiHi Jetsのライブは脳も足りなくなる。

 

 

夏のサマパラを経て、1シーズンでこんなに進化できるのかと思うほどグレードアップした配信ライブでしたが、ひたすら圧倒されただけでなく“エモさ”に溢れたライブでもありました。

 

今回のFESでは各グループの新曲が初披露されるというサプライズがあり、HiHi Jetsの新曲「ドラゴンフライ」*17は計3ヶ所あったHiHiだけのパフォーマンスコーナーの最後に披露されました。その後、メロディーはHiHi Jets(曲)だけど歌詞が違う「HiHi Jets to the moon」、7 men 侍とJr.SPとフレッシュJr.も一緒に歌う「HiHi Jets」(通常とは違う歌詞+通常Ver.歌詞の計2曲分)と、「HiHi Jetsメドレー」が続き本編の配信が終わります。

HiHi Jets to the moon」と通常とは違う歌詞Ver.の「HiHi Jets」を披露したのは久しぶりだったようで、当時見たことのある方にとってはめちゃくちゃエモかったんだろうと思っていますが、歌っている本人もエモくてリハで泣きそうになっていたようです。*18今回が初見だった私でも、新曲披露からの「HiHi Jets」3連続の流れにはぐっときました。

 

配信に特化した演出をしようとするとテクノロジー特有の冷たさがあったり、現場と視聴者の距離を感じてしまったりしそうですが、画面越しでもこんなに熱量が伝わってくるものなのかと驚きました。いつもの現場で感じていたとんでもないものを目の当たりにした充実感も、生で受けたらしばらく放心状態になってしまう程の5人の熱量も、そのどちらも感じられる、テクノロジーとエモのバランスが絶妙な温かみのある配信ライブでした。

 

 

 

 

 

ふたつの配信ライブに共通することですが、HiHi Jetsのライブには必ずある振付師さんによるプロデュース曲目があります。

サマパラでは「Peak~BUTTERFLY」が該当します。*19なので、同じ電飾バーを使用した映像イリュージョンの演出も振付師さん考案かもしれません。それから、FESでの「living large」の演出も同じ振付師さんによるものです。*20

その振付師さんがすごいことは大前提ですが、振付師さんのプロデュース演目を入れると決めているのはHiHi本人達の意思です。カバー曲のセレクトセンスもあるしライブの構成力もあるし、オールセルフプロデュースでもものすごく面白いライブをつくりそうな彼らですが、振付師さんによる演出を必ず入れるのにはちゃんと理由があります。

「ジャニーさんから教わった、「(HiHiの)ファンじゃない人も驚くようなものをつくらないとダメ」という考えを大事にしていて。でも自分たちだけでは自分たちがやりたいことに偏るから、振付師さんによる完全プロデュースコーナーを設けている」と猪狩くんが話していました。*21

これだけの実力があっても自分たちのことを過信しすぎずに客観的な視点を持てる冷静さと、第三者の視点を取り入れ続けることができる聡明さにあっぱれです。

 

冒頭で他のグループのファンからの支持もあったからランキングで上位に入れたと書きました。サマパラが「ジャニーズ楽曲大賞 無観客現場部門」の8位に入ったことで、この三者の視点を取り入れて、それがいろんな層の人を魅了する一因になったことが証明されたと私は捉えています。

You達、結果出してるよ…!!!!!

 

 

 

先が読めない不安定な世の中でもそんなことは関係なく、コロナ禍もソーシャルディスタンスもものともしないどころか、この状況も生かしてパフォーマンスを進化させていく彼らは、ニューノーマル時代を先駆けるエンターテイナーになるかもしれません。

それくらい大きな期待を寄せたくなるライブでした。

 

 

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

残念ながらサマパラもFESも円盤化される望みは薄いですが、裏側の様子はYouTubeにあがっているので是非見てみてください


HiHi Jets【舞台ウラ】「Summer Paradise 2020」5人の夏…軌跡と本番

 


HiHi Jets【ジャニーズJr.のフェス舞台裏】ローラーとスケボーのコラボで感動!!

 

 

 

最高を更新しつづけるHiHi Jetsのライブの評判が、いつか月まで届きますように。

 

 

 

 

 

*1:正式名称「SummerParadise2020 俺担ヨシヨシ自担推し推し緊急特別魂」

*2:各グループのファンがどの公演に投票したかがわかる集計結果はこちらです。いつも細かいデータを公開してくださる運営の方に感謝です。グループ別現場ランキングジャニーズ楽曲大賞2020 (j-award.net)

*3:どうしても一言で表現しなければいけないとしたら、「百聞は一見にしかず。」いいからとにかくHiHi Jetsのライブを見てくれ。見ればわかる。

*4:2020年3月22日~4月5日に開催予定だった単独ライブ「ども、只今ご紹介にあずかりましたHiHi Jetsです。さあ楽しいゲームが始まります。それはつまり祭。例年の如く夏祭りでございます。え?3月は春だって?HiHiわかりましたよ…じゃあ Dooooon! 裸の少年 春祭り」

*5:週刊TVガイド2020.09.25号より引用

*6:無観客現場部門第8位 SummerParadise2020 俺担ヨシヨシ自担推し推し緊急特別魂【HiHi Jets】 ジャニーズ楽曲大賞2020 (j-award.net)

*7:電飾バーの光り方の仕組みがわからないので本当は断定するべきではありませんが、おそらくこの電飾バーは有観客でやるはずだった公演のために既に用意されていたものではないかと予想しており、“配信ならでは“という観点から考えると無関係なので、強気な表現にしました。

*8:瑞稀くんはファン投票用に4曲も用意していたので、厳密に言うと8曲分プラスアルファで準備していたことになります。

*9:DanceSQUARE Vol.40を参照していますが、たくさんのHiHi担がセトリの詳細をまとめているので詳しく知りたい方は検索してみてください。

*10:DanceSQUARE Vol.40 の猪狩くんと作間くんの対談より

*11:サマパラ裏側動画の冒頭8秒目あたりで映っているやつです。

*12:ジュニアだから特別に新しい映像をつくってもらうことができないという裏事情があるのかもしれないけど。

*13:週刊TVガイド 2020.12.04号の対談内容より引用

*14:ベネズエラにある世界最大の落差を誇る滝

*15:SODA 2021年5月号の対談より要約

*16:無観客現場部門第14位 Johnnys' Jr. Island FES【HiHi Jets・7 MEN 侍・Jr.SP・他ジャニーズJr】 ジャニーズ楽曲大賞2020 (j-award.net)

*17:猪狩くんと作間くんが主演したラジオドラマ「オートリバース」の主題歌で、原作者の方が作詞です。オートリバース|特設ページ|中央公論新社 (chuko.co.jp)

*18:12月1日の猪狩くんの伝記より

*19: DanceSQUARE Vol.40の猪狩くんと作間くんの対談より

*20:週刊TVガイド 2020.12.18号猪狩くんの個人インタビューより

*21:週刊TVガイド 2020.12.18号猪狩くんの個人インタビューより